ゆうま「ペニ日記」

韻を踏むペニスによるLove & Penisと性教育。

"下ネタRAP" にこだわる理由

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「ねえ、チンゲってどうやって生えてくるの?」

 

 

小4の頃、父親に質問したことがある。

 

 

 

父はこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

「1本ずつ生えてくるんだよ」

 

 

 

 

なるほど。

 

 

 

1本ずつ生えてくるのか。

 

 

 

そう思うと、急にこわくなった。

 

 

最初の1本が生えてきたとして、

もしその1本が抜けてしまったらどうしよう。

 

 

記念すべき最初の1本目。

人生において、最初で最後の1本目のチンゲだ。

 

 

抜け落ちてしまったら、二度と1本目のチンゲは生えてこない。

 

 

それだけは抜けないよう、
何としても死守しなければならない。

 

 

でも、髪の毛がそうであるように、

毛なんてふとした瞬間に抜け落ちてしまう。

 

 

寝ているときか、歩いているときか、またはトイレに行ったときか、

 

その1本が抜けてしまったらどうしよう

 

そう思うと

こわくてこわくてたまらなくなった。

 

 

恐怖は、さらに恐怖を呼ぶ。

 

 

もし仮に、最初の1本目のチンゲが抜け落ちてしまったら、

もしかすると2本目のチンゲは生えてこないのではないか?

 

 

"1本目のチンゲが抜け落ちると、2本目のチンゲが生えてこない。"

 

 

サザエさんの波平さんの最後の1本の髪の毛。

それを抜いてしまうと、二度と髪の毛が生えてこない... 

 

 

ゆえに、1本目のチンゲが抜け落ちると、2本目のチンゲも生えてこない。

 

 

そんな根拠のない推論をしては、

 

小4の頃の僕は、悩み、苦しみ、夜もなかなか眠れない日が続いた。

 

まだ1本目のチンゲすら生えていないというのに、ね。

 

 

 

 

 

 

ある日のこと。

 

当時小4の頃、通っていた塾で、こんな噂が流れた。

 

 

「同級生のT君は、チンゲが生えているらしい」

 

 

たしかに、T君は、仲良くしていた僕たちのグループ数名のなかで、1人だけ大人びていた。

 

 

僕も含め、周りが声変わりしていない高い声でギャーギャー騒いでるなか、

 

T君というやつは、キリっとした目つきと低い声で
「ふっお前らはガキだな」とささやくようなクールな奴だった。

 

 

T君はちょっと不良っぽいし、

 

ポケットのなかにライターでも隠し持っていそうな雰囲気だったが、

 

人を殴ったりはしないし、声も荒げたりしない。

 

 

だが彼が一言、小さな低い声、短い一言で「ふっお前らは」と言うと、

 

周りのみんなは我にかえったかのように、急に静かになる。

 

 

T君こえー!

 

 

だが、それでも僕たちはT君と一緒に遊んでいたし、
彼は皆から愛されていた。

 

 

そして、そんT君に、
チンゲが生えているという噂が流れたとき、

 

たしかに彼ならチンゲが生えていてもおかしくないな、と周りの人間は納得したのである。

 

 

当時小4。

 

なんとなく当時の僕は、チンゲは小6の後半ぐらいで生えることを知っていた。

 

当然、小4の僕たちにはチンゲが生えていない。


けれども、きっとT君には...

 


T君にはチンゲが生えてるのだろうか?

 


チンゲが生えてくるってどんな感じなんだろう。

 

そう思うと、夜も寝られなくなった。

 

 

 

 

 

 

ある日。

 

 

僕はとうとう、

 

 

T君に切り出した。

 

 

「T君、チンゲ生えてるの?」

 

 

そう聞くと、

ふだんクールで微動だにしないT君が、

一瞬、僕から目をそらした。

 

 

そして、ほんの少しだけ間を空けて、

T君はクールにこう答えたのだ。

 

「No.」

 

ノーってなんだよ、

その答え方、

どこまでクールなんだこの男は、

と思った。

 

 

それから塾に行って彼に会うたび、

僕は同じ質問を繰り返した。

 


その度に彼は、ノーと言った。

 

 


何度同じ質問をしても、T君の答えは変わらず、ノーだった。

 

 

それから1ヶ月も経たぬうちに、

「T君にチンゲが生えてるかどうか」なんて話は

どちらでもいい話題になり、


そんな話題を口に出す人はいなくなった。

 


T君のチンゲのことよりも、

塾のクラスのマドンナ的存在の女の子の話だとか、

好きな子の話で盛り上がるようになった。

 


そして、当然のことながら、小学生ながらに、

まだ見たことのないあそこについて

妄想と股間を膨らませては、
仲間たちとお喋りを楽しんでいた。

 


そんなときにもT君は、誰よりも性に詳しくて、
僕たちの知らない最先端の性の知識を、
クールに披露してくれた。

 

 

そんな日々が、続いた。

 

 


小4のときに出会ったT君や仲間たちとは、

小5になっても小6になっても仲良しで、

いつも一緒に帰ったり、

休み時間にみんなでふざけたりしていた。

 

 

 

 

 

 

 

時は流れ、小6の、2月下旬。

 

 

 

 


まもなく塾を卒業する時期なこと。

 

 


マンを辞して、

 

 

 

 

 

僕に、

 

 

 

 

 

 

 

 

チンゲが生えた。


父親の発言に反して、

1本ずつ生えるなんてことはなく、

 

 

 

 

 

よくみると、


産毛のように細かくてやわらかい毛が、

 

うっすらと沢山生えていた。

 

 

 

 


あと数回で塾を卒業。

 

そんなタイミングの塾の帰り道。
T君と2人で帰ったとき。

 

 


T君に、僕にチンゲが生えた報告をした。

 


T君は、ふーん、そうなんだ、とクールに答えた。

 

 

僕は、あっ、そうだ、と思いつき、

 
「そういえば、T君っていつからチンゲ生えてた?」

 

と聞くと、


T君は、珍しく笑顔で「小4かな?」と答えた。

 

 


なんだ、やっぱりそうだったのか。

 


あの日の「ノー」は、T君なりの、照れだったようだ。

 


卒業を前にして、

T君とまた1歩、心の距離が縮まった気がした。

 

 

僕は続けてT君に質問した。


「ねえ、

 

 

 

 

セイシって、

 

 

 

どうやったら出るの?」

 

 

 


僕の質問に、

T君は子供のように笑いながら、

丁寧に答えてくれた。

 

 

 

塾の帰り道に、T君と2人で帰ったのは

その日が最後だった。

 

 

 

 

 

 

その晩、僕は初めての射精を経験した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小学生時代。
あれからまもなく20年が経つ。

 


今思えば、毎日ほんとうにくだらないやりとりをしていたあの頃。

 

仲間にチンゲが生えてるか生えてないか、そんなくだらないことが気になってたあの頃。

 

ほんとにほんとにくだらないのだけど、

 


僕にとってはあの頃が

懐かしくて

輝かしくて
あの頃の友達や自分が

愛おしくて愛おしくて

仕方がないのである。

 

 


思えばあの日を共に過ごした仲間たちは、

僕の人生で、初めてペニフレ(ペニス・フレンド)と呼びうる仲間たちだったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 


以上が、僕が今でも下ネタRAPにこだわる理由、

 

 


少なくとも

 

 


数あるたくさんの理由のなかのひとつなのである。