ゆうま「ペニ日記」

韻を踏むペニスによるLove & Penisと性教育。

MCバトルに本当は出たくない件について

百足くんとMCバトルで対戦したとき、

「下ネタ言うけど楽屋じゃ静か」

と言われた。

 

うむ。

 

 

僕が楽屋で静かなのは、事実である。

 

 

 

MCバトルの本番前は、ほとんど喋らない

(というか喋れない)。

 

理由はひとつ。

 

 

 

 

緊張してるからだ。

 

 

 

いや、緊張どころではない。

 

 

 

凄まじいレベルの吐き気と

 

 

 

寒気と

 

 

 

発熱と

 

 

震えと

 

 

知覚過敏が一緒に来るような感じだ。

 

 

さいきんでは、

 

戦極バトルタワーのとき。

 

 

渋谷HARLEMの、

楽屋のトイレの個室で、

 

本番前に極度の緊張状態にあった僕は、

 

凄まじい勢いで

 

 

 

 

ゲロを吐いていた。

 

 

 

あのときの

「オエェェェェェェィィィィ!!!!!!」

という僕のゲロサウンド

 

恐ろしく大音量で、

トイレをこえ楽屋をこえフロアにまで

こだましていたに違いない。

 

(ちなみに本番前、酒は一滴も飲んでいない)

 

 

 

トイレの個室を出ると、

 

洗面所でベル君が、

たいへんリラックスした表情で、

鏡に向かって、

ご自慢のリーゼントヘアーをセットしていた。

 

彼はトイレの個室から出てきた僕を見て、

「大丈夫ですか?」と心配してくれた。

 

 

ベル君の優しさにキュンとした。

 

僕はゲロにまみれた左手を洗いながら

 

「大丈夫、いつものことだから。」

と答えた。

 

そう、これはいつものことなのだ。

 

 

2006年のUMB東京予選に出場してから、

もう13年もMCバトルに出ているのだが、

緊張は、毎度のようにやってくる。

 

 

慣れない。

 

 

慣れないどころか、

年を重ねるごとに緊張はますます

ひどくなり、その日はこれまでで1番レベルの

ゲロを吐いた。

 

 

 

理由はわからないが、

いままででいちばんレベルにプレッシャーが大きかったのだろう。

 

もちろん13年前の初バトルのときも、

めっちゃ緊張した。

 

だが、あの頃は、捨てるものなんてなかった。

 

無名の頃は、

ステージで失敗しても、ぼろ負けしても、

 

誰も自分のことなんて知らないし、

 

恥ずかしい思いをしたとしても後になったら

ほとんど誰も覚えていなかっただろう。

 

 

 

だが、13年の月日が経ち、

今では"韻踏むペニス"のゆうまとして、

 

多くのイベントでギャランティをいただいて

 

ゲストで出場者として招待され、

 

MCバトル界隈にいる多くの方々が

僕を知っているし、応援してくれている状況。

 

別に全員が僕のことを好きなわけではないが、

 

それでもなお、少なからず

ゆうまは今日も下ネタでぶちかますだろう、

と期待されていることは確かだ。

 

チケット代を支払って会場に来てくれている

ペニフレ(ペニス・フレンド)と、

ペニフレになれるかもしれないお客さん達、

ギャランティを支払って自分を呼んでくれた主催者、

僕のことを嫌いな沢山のひとたち、

僕に関心のないひとたち、

さらにこの試合がYouTubeに公開された際に僕を見るだろう不特定多数のひとたち。

 

ステージで戦うたった2人のMCの周りに

様々なものがとりまき、

様々なものがプレッシャーとなって押し寄せる。

 

だからこそ僕は...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日も楽屋のトイレで、

盛大にゲロを吐くのである。

 

 

 

 

 

できればこんなつらい思いはしたくない。

 

 

 

 

 

MCバトルなんてもう出たくない。

バトルやめたい。

 

 

 

常に常にそう言いつつ、13年も経ってしまった。

 

やめたいやめたいと言いながらもやめないのは

 

MCバトルにはチャンスが。

希望があるからだ。

 

 

 

MCバトルブームが来る前からMCバトルは、

無名の自分のことを多くの人に知ってもらえるチャンスであったし、

 

 

昨今のMCバトルブームの最中においては、

こんなに自分を効率よくプロモーションできる方法なんて、他にはほとんどないだろう。

 

 

誰も知らない無名なラッパーだって、

MCバトルでぶちかまして動画にのれば、

数万人、数十万人、場合によっては数百万人に

自分を知ってもらえるのだ。

 

 

大企業が何百万円、何千万円とかけて

商品の広告を打つなか、

 

 

 

僕たちは大金を支払うことなく、

実力次第ではお金をいただいて

自分の広告を盛大に打つことができるのだ。

 

 

これはチャンス。

やらない手はない。

 

 

 

 

時々、

「今のMCバトルなんて所詮〜だからさ」

「俺は音源とライブで勝負するよ」

と言って、MCバトルで大して結果を残したわけでもないのに、あきらめてしまう人たちがいる。

 

 

 

それぞれのスタイルやそれぞれの信念があるし、別に結構だ。

 

 

だが、そんなに世の中は甘くない。

 

 

 

超売れているあのひとやあのひとぐらい

RAPがうまくて最高の音源とライブができる人か神レベルの天才でない限り、

 

音源とライブだけで勝負するのは難しい。

 

 

そんな偉大なる人物か天才ならば、

MCバトルなんてそっこーやめていいと思う。

 

 

だが、僕は天才ではないし、音源とライブだけで勝負すると言っているひとのほとんどは天才ではないのだから、

 

 

もし少しでも売れたいとか成功したいと思っているならば、

MCバトルは自分を売り込む大きなチャンスだと思うし、MCバトルを使わないことは、そのチャンスを自ら捨てに行くようなものだ。

 

だから僕はバトルに出るのだ。

 

 

そして、何より、意地がある。

 

 

 

まがいなりにも、

こちらとらMCバトルに13年出続けてるんだ。

 

 

 

 

それでもなお、時代の流れのなか、

 

 

 

始めて1年にも満たない若い子の方がRAPが上手かったりして、

 

 

僕はそんな子たちにサクっと負けてしまうことがある。

 

 

始めて数ヶ月ぐらいの若いラッパーが、 

バトルで優勝し、テレビに出るなどしてスターになってしまうこともある。

 

 

 

そんなときは素直に思う。

 

 

 

 

また追い抜かれた。

悔しい。

 

 

 

 

 

13年やってるから偉いとは思わない。

 

 

 

13年やってるからこそ、MCバトルできちんとした成果を出したい。

 

 

 

 

 

 

 

だから僕は本番前にゲロまみれになっても、

やめたいやめたいとわめきつつも、

 

 

 

 

 

MCバトルに出続けるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嗚呼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フリースタイルダンジョン出てぇよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなる。